メモ書き程度の読書記録

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こんなにも優しい、世界の終わりかた 市川拓司 2020/10/05~06 

 

こんなにも優しい、世界の終わりかた (小学館文庫)
 

 

優しかった。物語全体を流れる空気も澄み切っている優しさで、こんな風に世界が終わるならいいとさえ思えた。青い光が降りそそげば、人もものも全て凍ったように固まってしまう。もうすぐ世界が終わると知ってから多くの過ちに気づくのだろう。そんな気がする。
 
いつかは死んでしまうと頭で分かってはいても、実感が湧かないし、無駄とも言える時間を過ごしてしまうこともある。でも、全部を大切なひととの時間に充てることが難しいのも事実だ。この物語を読み終えて、少しでも今までより大切に好きな人に接することができたら私は充分だと思う。何よりそれを市川拓司さんが考えているはず。
 
家庭の事情や仕事の関係で好きなのに4年間も一緒にいられなかった2人を応援せずにはいられなかった。凍ってしまう前に気持ちを伝えてほしいと。純度の高い愛を感じた。