メモ書き程度の読書記録

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余命10年 小坂流加 2020/10/07~09

 

余命10年 (文芸社文庫NEO)

余命10年 (文芸社文庫NEO)

 

 

余命10年って告げられたらどうするかな。
とことん楽しいことをして、幸せな時間を過ごしたいと思うけど、現実は厳しい。激しい運動はできないし、お酒だってそんなには飲めない。恋人と付き合って結婚に踏み切ることだって簡単じゃない。
 
茉莉は死を怖がらないために、その場その場を楽しんできた。死にたくないと思わないために。でも、中学の同窓会の日、どうしても忘れられない人ができてしまった。初めは自分の心に嘘ついて、病気のことも伝えず、ごまかそうとしてきたけど、ダメだった。彼が好きすぎて一緒に居たくてたまらなかった。彼といる時が本当に生きていると感じる瞬間で、それと同時に死にたくないと思ってしまう自分もいる。今までそう思わないために避けてきたのに、優しくて、穏やかな彼に触れたくて仕方ない。
 
茉莉が思い出を捨てに行った校舎に8年越しに向かう和人はかつての弱くて脆かった彼からたくましく変わっていた。茉莉の想いは通じたんだね。2人とも重い運命を背負いながら生きていく姿に励まされた。涙より切ないラブストーリー。