メモ書き程度の読書記録

3日に1冊程度更新します

こんなにも優しい、世界の終わりかた 市川拓司 2020/10/05~06 

 

こんなにも優しい、世界の終わりかた (小学館文庫)
 

 

優しかった。物語全体を流れる空気も澄み切っている優しさで、こんな風に世界が終わるならいいとさえ思えた。青い光が降りそそげば、人もものも全て凍ったように固まってしまう。もうすぐ世界が終わると知ってから多くの過ちに気づくのだろう。そんな気がする。
 
いつかは死んでしまうと頭で分かってはいても、実感が湧かないし、無駄とも言える時間を過ごしてしまうこともある。でも、全部を大切なひととの時間に充てることが難しいのも事実だ。この物語を読み終えて、少しでも今までより大切に好きな人に接することができたら私は充分だと思う。何よりそれを市川拓司さんが考えているはず。
 
家庭の事情や仕事の関係で好きなのに4年間も一緒にいられなかった2人を応援せずにはいられなかった。凍ってしまう前に気持ちを伝えてほしいと。純度の高い愛を感じた。

恋愛寫眞 市川拓司 2020/10/03~05 

 

恋愛寫眞 もうひとつの物語 (小学館文庫)

恋愛寫眞 もうひとつの物語 (小学館文庫)

 

 

タイミングなのよね、といったみゆきの言葉が今でも残っている。初めから誠人はみゆきのことが好きで、大学を卒業していった。どこかしらで好きが重なっていたはずなのに、何も告げられないで終わってしまった。みゆきというほとんどの男の子が気になってしまう人でも好きな人の前に立って、愛されたいと願っている。当然のことだと思う。でも、なかなか気がつけない。憧れてしまい、まさか自分のことをなんて思いもしない。
 
この世界がもっと単純だったらいいのに。私はあの人が好き、あの人は彼が好き。そういった一方向で完結する世界だったら、いいのに。と、静流が言っていた。だけど、やっぱり両想いでいたいと願う世界だから難しくなってしまう。幼くて、女性として見られなかった静流はずっと辛かっただろう。いつも好きな人の好きな人を見ながら、彼女になりたいと願っていたかもしれない。でも、最後は誠人は静流を選んだ。でも、それもタイミングが悪くて、自分の気持ちに気づいた時には手遅れだったんだよね。
 
読み終えた後のハッピーエンド感の中にちょっと悔しさが混ざってしまう。どうしても自分を責めずにいられない誠人を思って悲しくなってしまう。誠人はそういう人だから。
 
これからも何万回と写真を見返して、静流との思い出を抱えながら生きていくんだろう。時に辛いと思うけど、頑張ってほしい。幸せであってほしい。

そのときは彼によろしく 市川拓司 2020/09/30~10/02 

 

そのときは彼によろしく (小学館文庫)

そのときは彼によろしく (小学館文庫)

  • 作者:市川 拓司
  • 発売日: 2007/04/06
  • メディア: 文庫
 

 

幼馴染みの女の子との恋愛を描いている。初恋の女の子に生涯想いを馳せることって素敵だと思う。けど、なかなか無いね。それがいい。
 
市川拓司さんの作品に出てくる男の子は少し変わった子が多い。水辺が大好きで、鼻がつきそうなほどじっと眺めている、不器用で恋には奥手。そんな智史がこのお話の主人公。自分の世界にしか興味がないような男の子に憧れを抱いていた花梨。言葉には時々毒が混じっているけど、人思いで人情の厚いかっこいい女の子。
 
そんな子がある日、智史の働いているアクアショップに現れて、、、
 
二人とも全然口にしないけど、お互い大好きで、同じ写真を大事に持っていたのは、恥ずかしくも可愛かった。15年以上かかってやっと結ばれた。
 
眠ってしまえばもう起きる事はないと悟った花梨は、智史に告げずに去ろうとしていたが、最後は伝えることになる。お互いに言えなかった思いが明かされ、その余韻に浸るまもなく花梨は長い眠りについてしまう。
 
多くの読者を虜にする作品。

いま、会いにゆきます 市川拓司 2020/09/28~29 

 

いま、会いにゆきます (小学館文庫)

いま、会いにゆきます (小学館文庫)

 

 

市川拓司さんらしい優しい世界。

澪が亡くなった一年後、6週間だけ会いに来てくれたときのたっくんと佑司の今にも泣きそうな顔が目に浮かんだ。
 
特別なことより日常的なことが大切だと言う歌詞や言葉はよく耳にしてきたが、この本以上にそのことを感じられる本はないのではないだろうか。他愛の無い会話も繰り返される言葉もその仕草も愛おしく思えた。恋人をもっと大切したいと思った。
 
この物語は映画化され、主演は竹内結子さん。実際の彼女を重ねずに観ることは難しく、泣いてしまった。もう一度澪のように戻ってきてくれないだろうか。

 

 

アミ小さな宇宙人 エンリケ・バリオス 2020/09/21~27 

 

アミ小さな宇宙人 (徳間文庫)

アミ小さな宇宙人 (徳間文庫)

 

 

読むのは3度目くらいだが、色褪せない愛に関する想いが詰まっていた。
今地球で起こっている争いごと、環境破壊はまだまだ愛の水準が低いので起こっていると。
地球では、頭の数値が高い人を賢者やインテリと呼んだりするが、本当に大切なのは心の数値であり、これは他者への奉仕や思いやりの深さが高い数値を示す。
 
実際、周りの人で幸せそうな人はどのくらいいるだろうか。
自分も含め少ない気がする。
”未来のことに心配ばかりをして、今を楽しもうとしていない”
この言葉は非常に印象に残っている。
大切にすべきは今この瞬間であり、今を楽しめるよう未来も考えていこう。
未来のことは二の次だ。
 
アミの続きが気になるが、いったん別の本でも読みたいと思う。